皆様、こんにちは。エヌテックの設計担当・谷口です。
今回はエヌテックのリフォーム事業「住宅再生工房」の常設展示場であり、私の自宅でもある「まゆの蔵」をご紹介いたします。

昭和2年に建てられ製糸工場のまゆ保管庫として使用されていた蔵は、数度のリフォームによって倉庫のような外観となり簡易的な内装工事が行われてきました。このたびのコンバージョン（用途変更）に際し、建設当時の蔵の面影を復元して、蔵特有の無柱空間を「建物の個性」として生かすようにプランニングしたのが「まゆの蔵」です。

蔵の南には2階建ての主屋が建ち南面採光が期待できないため、建物中央部にコアを配置し、東西・北面に諸室を配置することで、どの部屋も採光がとれるよう間取りを工夫しました。コアの内部は1階が納戸とトイレ、2階はウォークインクローゼットや洗面室、シャワールームとなっています。

リビングは、主屋の和室（客間）に近い場所に配置し、応接室としての機能も持たせています。一方ダイニングは、主屋のLDKと近い場所に配置し、食事を中心とした一体感のある構成を意識しました。

外観デザイン面では外壁周りに耐震・断熱補強工事を行うことで、外壁の厚みを増し、新設した樹脂窓が外壁面よりも室内側に後退することで、窓周りに陰影が生まれ蔵の外観の風情を取り戻しています。

改修時点ですでに築88年が経過していましたが、今回の耐震改修や温熱改修によって冬暖かく夏涼しい快適性の高い住環境が実現、この先も100年は快適に暮らせる住まいが誕生しました。

穏やかな時間の流れる「まゆの蔵」は見学会も実施しておりますので、ご興味のある方はぜひお越しください。設計者として、そして居住者としてじっくりご案内させていただきます（笑）。