社会的責任としての住宅の耐震化
第4,100回 設計の谷口です。
先日、YKK AP主催のセミナーに参加してきました。
講師は、M’s構造設計 代表取締役の佐藤 実さん。
構造計算の重要性について、年間200回くらい講演をされているそうです。
構造設計事務所を運営されながら、構造計算された建物が日本に一棟でも多く普及するよう、日々講演活動にも積極的に力を入れているとのことでした。
建築基準法で構造計算が義務づけられている木造住宅は、階数が3階以上、述床500㎡超、高さ13m超、軒の高さ9m超のものに限定されています。
つまり、一般的な木造2階建て住宅は構造計算の義務がありません。
そのため、ほとんどの木造2階建て住宅は、正しく構造計算されていないまま、この地震大国に次々と建設されています。
ちなみに、エヌテックの木造住宅は全て耐震構法SE構法でのご提案となりますので、震度6強の地震でも倒壊しないことを確認した構造計算がなされますので、その点はご安心していただけます。
前述のセミナーでは、実務者向けの内容がたくさんあり、とてもためになりました。
そして、一番印象に残った話は、「木造住宅の耐震化は社会的な責務がある」ということです。
例えば、住宅のリフォームを行おうとした場合、見栄えを良くする内外装のリフォーム、設備機器のリフォーム、断熱や気密性能を向上するリフォームなどは結果がわかりやすく、お客様も受け入れやすい工事内容です。
一方で、建物の耐震性能を向上するようなリフォームは、お金や手間もかかり、結果も普段の生活ではあまり体感することのないものです。そして、「まぁ古い家で今の耐震基準には合致しないのは仕方がない。」「自分の家だから、何かあって倒れたときは自己責任よ。」などと考える人も多々おられます。
しかしながら、地震で倒壊した建物が道路を塞ぐような倒れ方をしたらどうでしょう?
自治体で想定・訓練した避難経路が絶たれる場合も考えられますし、緊急車両が通行できずその道路の先で苦しむ人々の救助が遅れることもあるかもしれません。
住宅は、あくまで一個人の所有物かもしれませんが、土地に建つ以上、その地域での役割があり、まさに社会的な存在として認識しなければならないと、改めて感じました。
木造住宅の耐震化を進めるべく、エヌテックは「一般社団法人 耐震住宅100%実行委員会」にも加盟しています。この団体のホームページでは、耐震に関するコラムや動画なども多数ご覧いただけますので、ぜひチェックしてみてください。
技術に裏付けされた本当の安心・安全を皆様にお届けするために、私自身もさらなる研鑽を重ねたいと思います。