公開まちづくりセミナー 仙田 満
第5,822回 設計の谷口です。
3月6日(水)の夜、広島県建築士会が主催の「令和5年度 公開まちづくりセミナー」に参加しました。
環境建築家・仙田満(せんだ みつる)氏は、日本建築学会会長や日本建築家協会会長、日本学術会議会員などを歴任されており、建築界でも超有名な重鎮です。
広島の人々にとっては、マツダスタジアムやエディオンピースウイングヒロシマの設計者ですと申し上げると、より親近感を持っていただけるのではないでしょうか?
仙田さんは、こどもの遊び環境の構造についての第一人者で、氏の提唱する「遊環構造」や「D字体」という設計手法によって前述のスタジアムもデザインされています。
回遊性のある動線の色々な場所に、抜けがあったり留まれる空間があったり、時にはショートカットのコースがあったりと様々な変化を建築的な工夫によって創出することで、使う側にとっても多様な空間体験が実現でき、建物への愛着も増すような設計が特徴です。
私も、毎年何回もマツダスタジアムに足を運びますが、カープ球団の運営的側面も相乗効果を帯び、いつ行っても新たな発見や体験があるので、とても魅力的な建築だなぁと感じています。
先日、初めてWEリーグの観戦でエディオンピースウイングヒロシマを訪れましたが、こちらもこれからサンフレッチェ球団の運営的な創意工夫が加わればより魅力的で、ずっと市民に愛されていくようなスタジアムになるのではと実感しました。
仙田さんのセミナーでは、1990年~2020年を「失われた30年」と題し、建築家の社会的な役割についても言及されていらっしゃいました。
80歳を超えてなお、第一線で活躍されている仙田さんのエネルギーはすさまじく、セミナー後の質疑応答も途切れることなく参加者から手が挙がり、僭越ながら私も質問をさせていただきました。
その応答の中で仙田さんからご紹介があった「こどもと住まい(上・下)」をさっそく購入。
こちらの本には、建築家50人の幼少期の体験をヒアリングしてまとめたインタビューや原風景のスケッチなどが描かれています。
時間を見つけて少しづつ読み深めていきたいと思います。
「こどもは親を選べない。こどもの環境づくりは親の責任。」
住宅であっても、いや住宅だからこそ、実現できるこどもの居場所や空間体験の大切さを考えさせられる良い機会になりました。