NTECPASSIVE DESIGN

Staff Blogスタッフブログ

Mission accomplished 古民家改修工事

第5,910回 設計の谷口です。

広島市南区仁保で工事中だった古民家改修工事もようやくお引渡しを迎えました。
本日のブログでは改修前後の写真をご紹介しながら進めてまいります。

普段は海外にお住まいのオーナー様は、最初はどこの住宅会社に相談しても古くなったお住まいを残す提案は全く無く、売って駐車場にされた方が良いとも言われ途方に暮れていた所に、とあるご縁をいただき弊社が改修工事に入らせていただくことになりました。
初めて現地を訪れた時は、雨漏りがひどいのでシートで建物全面を覆っている状態でした。
また、蔵の左官部分はかなり剥がれ落ち、木部も長年の風雨に晒され、屋根瓦もずれており大変危険な状態であるという印象を憶えています。

ご予算に限りもあるので、全部の建物を綺麗にとまではいきませんでしたが、比較的状態の良いモルタル外壁塗りの和室2間(外観写真向かって一番左です)は畳表の交換と襖の一部張替えのみとし、中央の平屋部分の全面改修と蔵の外周りの改修を行いました。

畳表が変わるだけでも見違えて良くなり、いぐさ表の新しい香りにオーナー様も喜んでいらっしゃいました。
タライやバケツで雨漏れを受けていた玄関内部と蔵の入口も、屋根から修繕しましたので雨漏りの心配もありません。

襖や障子などの建具で細かく仕切られていた間取りは、今回の改修工事で広々としたワンルームの空間に改修。
ただ、一部だけ建具がつけられるようにしており、広縁を緩く仕切ることが可能です。
こちらの建具の障子紙はオーナー様が張り替え体験ができるようにわざと改修前の状態としており、無垢のフローリング塗りも後日帰国された際に体験していただく予定です。

そして、改修前はなかなか使いづらかった水周りも今回の改修工事で刷新。
1坪サイズのユニットバスを設置し、洗濯+洗面+トイレをコンパクトに配置しました。

日本の家屋は自分たちで手入れ(メンテナンス)ができるものがたくさんあります。
いつしか、そのような材料は使われなくなり職人も減少し、ますます遠い存在となっていくものが多々あります。
日本の建物を愛していらっしゃるオーナー様は、今回の改修工事を大変喜んでくださいました。

改修工事を終えお引き渡しを行った当日の夜、オーナー様から大変ありがたいメッセージをいただきました。

「I am speechless. Tonight I got to be the first to use the new WC and Furo. While bathing I realized I had not been able to sleep or bath in the house for over 30 years. The roof doesn’t leak, the house is beautiful. I was in tears after it finally hit me after a long day of organizing, setting up and cleaning. I’m being very strict with my sons about caring for the new tatami and cedar floors. They love the house. Thank you all for making this happen. I was a true example of great teamwork, good character and personalities, and finding common ground toward the goal of getting back into this house. Mission accomplished」

おそらく、長旅の疲労感も相まって、家のゴソゴソ仕事を終えバスタブに浸かってふとした瞬間に、涙が溢れたのだと思います。
携わってくださった職人たちの力によって建物が息を吹き返し、次を担う世代の子供たちも家が気に入ってくれたことが何よりです。
古いものを残すことも私たちの大切な仕事だと改めて感じました。

 

 

 

 

Category /

Tags

Archive

私たちの最大のミッションは、「お客様に幸せになっていただくこと。」

エヌテックの家づくりへのりをお届け。気になる技術・仕様などをより深く掘り下げます。