小さな家の工夫
第5,410回 設計の谷口です。
先日、とあるセミナーで大手ハウスメーカーの最新動向を聞く機会がありました。
ウッドショックや物価高騰などの影響もあり、どのメーカーも軒並み販売価格が上昇しているとの事。
一方で、延床面積は減少傾向にあるとの事でした。
住宅を購入されるお客様も、限りある予算をどう配分していくか、その結果として延床面積は少々減らすことで
昨今の価格上昇に対応されているのかと思います。
お客様が思っている以上に、延床面積を減らしてもかえって住み心地がよくなるケースはあると感じますし、
小さい面積でどうやって広くて感じの良い空間に見せるかは設計者の力量だと思います。
10月に開催した平屋のお住まいの完成見学会では、廊下を無くす工夫について、ご来場のお客様に説明しました。
廊下を無くすことで床面積を縮小し、例えばLDKの冷暖房が隣室まで効果的に行き渡るなどのメリットもあります。
何より、床面積が小さくなればなるほど、掃除する面積も減っていきます。
以前、大規模リフォームを実施したお住まいでは、下の写真のような工夫を行いました。
面積的に、どうしても洗面・トイレ・脱衣室をひとつにまとめる必要があり、トイレの横に腰壁サイズのスライド建具を設えました。
気持ちの問題かもしれませんが、部屋の扉を開けた時にまる見えになるより、ちょっと見えづらい方がいいのではという話の結果、このようなデザインとなりました。
ちなみに、既製品のミラーボックスとサイズを揃える形で、トイレの吊収納もデザインしています。
小さいけれど工夫を重ねることで、愛着のある豊かな家を設計することは可能です。
「小さな家」がキーワードの本も書店では多数見かけるようになりました。
私達も設計スキルを向上させるためにも、日々学んでいく姿勢を大切にしたいと思います。