山口県 錦帯橋
第4,309回 設計の渡辺です。
今日は、少し前に見た建築をご紹介します。山口県にある錦帯橋です。
建築を勉強すると必ず錦帯橋について、教科書や資料で学びますが、私は実際に見るのは初めてでした。
日本三名橋にも数えられており、国の名勝にも指定され、木造アーチ橋がとても美しい光景です。
木造でこれだけのアーチを作れる技術の高さに驚きました。
錦帯橋は、1673年、岩国市を流れる錦川の両岸に広がる城下町を繋ぐ橋として、建造されました。
橋の全長は193.3m、5連のアーチで構成され、「流されない橋」を目指して設計されていたそうです。
1674年の洪水で橋が流出したそうですが、すぐに再建され、その後1950年まで不落の橋として残っていました。
木造建築物で、しかも雨風にさらされながらも、270年以上使用される構造を考え出した昔の人の知恵は、
計り知れないです…。
その後再建され、平成になってから、大規模な橋の架け替えをして現在に至るようです。
この錦帯橋について調べていくと、江戸時代、この橋が定期的に架け替えられてきたことが分かりました。
桁橋が40年ごと、アーチ部は20年ごと、橋板や高欄は15年ごと、ときちんとメンテナンスをしていたようです。
こうすることで、橋も、技術もきちんと維持されていきました。これも先人の知恵ですね。
木造の建築物は、性質上、腐朽してしまうので、メンテンナンスや建て替えが必要になりますが、
きちんと次の世代に木造建築の技術を残していける、というメリットもあると感じました。
新しいものを次々生み出すだけでなく、価値あるものをきちんと受け取って、
その良さ、技術を学んで、しっかり引き継いでいく。
この感覚をいつも忘れないようにしたいと思います。