Customer Columnお客様コラム
第10回 施工と設計を左右するもの
何か料理を作る際、自分の料理の腕を無視して何を作るかを決める事は無いと思います。
また、安くて簡単に済まそうとするならば、カット済の素材を使ったり、出来合いの調味料を使ったりして、最早料理とは言えない物になりがちです。
それでそれなりに美味しいものは出来たりしますが、一方でこの様な事を続けていれば、料理の腕は一向に上がらない事になります。
家の建築も基本的に同じで、実際に建てる以上は施工を無視して設計する事は出来ない筈です。
家の建築では施工は外注される事が普通ですが、施工業者が決まっている場合と不特定の場合がある様です。
施工業者を選ばない設計になる場合、施工能力が低い業者でも作れるような設計になるだろうと思います。
それで、考え方によっては、施工能力が低い業者『でも』作れるのではなく、施工能力が低い業者『で』作る設計にもなります。
この場合、建物に限らず家づくりの方がその様に設計されるので、建物の設計も効率化・省力化される事になります。
何れにしても、作れない家が設計され、建てられる事はありません。
従って、施主が家の建築『工事』について心配する必要は本来であればありません。
しかし現実として、欠陥住宅と言った法や設計通りに施工されないケースが今だある事が知られているので、安心してと言うのは難しい事です。
施工は人がする事なので、当然ミスも生じ得ます。
HMや工務店の現場責任者は現場に常駐している訳ではありませんので、施工業者のミスに気付かない事もありそうです。
また、施主は建築の知識がありませんし、施工計画も知らないので、現場に足繁く通ったとしても、何が悪いのか良く分からないものと思います。
それで、施工不良は単なるミスや知識不足、確認不足や設計ミスから来るものもありますが、意図的に手抜きされるケースも残念ながらあります。
ここで重要なのは、いいかげんな工事をさせるのは、工事を依頼した側(元請業者)であると言う点です。
施工業者は仕事を失う事に繋がるので、依頼者の意向に反する施工は基本的にはしないものです。
本題から逸れますのでこの辺りで止めますが、設計も施工も、HMや工務店が家づくりに何を求めるかによって決まるものです。
そして優先されるものによっては、どちらも犠牲になる事があると言う訳です。
最後に。
良いものを作りたいと考える人の周りには、同じ考えの人が自然と集まるものです。
人の能力は、それを必要とする環境があって育まれ活かされるものです。
本当の意味で良い家を作る事が出来るのは、良い家を作りたいと日々努力されている本物のプロの集団だけだと思います。
そして、こう言った人達の仕事は、第3者に監理して貰う事等よりも、遥かに頼りになるのではないかと思う訳です。