音楽家のご夫婦が家づくりに求めた要望の一つに、「災害に強い家」がありました。お仕事柄、多忙を極め出張の多いご主人。ツアーで富山県に滞在していたときに、広島県の自宅付近で大雨が降り、災害メールが携帯電話に届きました。しかし、自分では何もできず、広島にいた家族の無事を祈ることしかできなかった経験もあり、どんな時でも安心して暮らし続けることのできる住宅を建てることが大前提でした。その点、SE構法は木造住宅でありながら、許容応力度計算による構造計算を行っているため、震度6強の地震に対しても、根拠を持って安全と言えることでF様の安心を得られました。
また、家の中で楽器を演奏したいという要望に対しては、練習やレッスンで本格的に演奏する場として防音室をオリジナルでご提案。さらにLDKでも簡単な演奏ができるように、断熱材の工夫や遮音シートの施工、内窓も追加し音の漏れをできるだけ減らす仕様となっています。
見晴らしの良い高台に造成された分譲地のため、LDKは2階に配置し、SE構法が得意とする柱の無い大空間を実現。高気密・高断熱住宅特有の音の反響を考慮し、板貼りの勾配天井で空間に変化をつけることで、弾き心地や吹き心地の良い演奏の場を構成しました。建物の中央にある階段の上部に配置した三連のトップライトは、暗くなりがちな中央部に明かりを届け、夏は立体通風を促す環境装置の役割があります。
1階の室内物干し場兼洗面脱衣室からは、外の物干しデッキにアクセスでき、2階のバルコニー下に洗濯物を干せるために、急な雨でも安心の家事動線です。南側の隣地には、借景となる豊かな緑が広がるため、季節に応じてこのデッキやピクチャーウィンドウのある寝室が、外の豊かさを感じるくつろぎの居場所となっています。殺風景になりがちな分譲地に対しては、玄関までのアプローチに植栽を施し、四季の変化を感じられるような樹種を選定し、会話のある街並み形成を目指しました。照明やインテリア雑貨など、随所にFさまのセンスが光る暮らしぶりは、何度訪れても新たな発見があり、暮らしを愉しむその姿勢がとても印象的な住まいとなっています。
「FAMILY TREE~受け継がれていく木の暮らし」で紹介されました!
Data
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土地概要
第一種住居地域
第一種低層住居専用地域
道路幅員/北側6.0m
敷地面積/140.02m²(42.36坪) -
建築概要
建築面積/69.89m²(21.14坪)
延床面積/115.11m²(34.82坪)
1階:53.83m²(16.28坪)
2階:61.28m²(18.54坪)
施工面積/138.77m²(41.98坪) -
家族構成
夫婦2人+子ども1人
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建物性能
Q値:1.60W/m²K
μ値:0.023
UA値:0.56W/m²K
ηAC値:0.8
ηAH値:1.3
一次エネルギー消費量:403MJ/(m²・年)
C値:1.0cm²/m²